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REPORT

イベントレポート

【第3回|10月15日】まちとくらしの未来を考える・イベントレポート【※トークイベント付き】

〜BtoBからBtoCまで、まちとくらしに関わる企業が、自社のシーズやニーズについて語る〜

企業や大学、行政などが抱えるシーズやニーズをスタートアップに向けてプレゼンテーションし、協業や連携を模索する『Innovation Base Tokyo』のピッチ&マッチングイベント。
今回のトークイベントでは公益財団法人 川崎市産業振興財団の片桐氏に登壇いただき、中小企業支援を目的に現場主義に基づき、企業との「顔の見えるネットワーク」を構築し、さまざまな活動を行う「川崎モデル」のコンセプトや歴史について語っていただきました。

トークイベント

登壇者プロフィール

プロフィール画像

片桐 仁志

公益財団法人 川崎市産業振興財団
中小企業サポートセンター 起業支援担当

東京都出身。大学卒業後、都内の金融機関での営業を経て、2018年に(公財)川崎市産業振興財団へ入職。「現場主義」をモットーに日々中小企業の現場に赴き、中小企業が抱える様々な課題解決の支援に従事。同時に、大企業の開放特許を用いて中小企業の自社製品開発を支援する「知的財産マッチング事業」を担当。
現在は起業支援担当として、企業の現場で培ったネットワークを活かしながら、起業家・スタートアップの支援に携わる。

トークイベントの要旨

・ 川崎モデルでやっていることは『つなぐ』こと
・ 自分たちから外に出る支援のやり方
・ 知財を活用したマッチングが企業の強みを生む

川崎市の中小企業支援『川崎モデル』
〜顔の見えるネットワーク構築と、知財マッチング事業の支援事例〜

徹底した現場主義・顔の見えるネットワークから生まれるオープンイノベーション

イベントのイメージ

川崎モデル=知的財産のマッチングだと言われることが最近増えたという片桐氏は、改めて川崎モデルの定義を説明。川崎モデルは中小企業に対する事業支援活動の総称であり、知財マッチングはその中のひとつのツールであると語りました。川崎モデルの特徴は、現場力とチーム力を活かした伴走支援。中小企業の現場に赴いて、経営陣や従業員の生の声を聞き、どんな課題を抱えているのかを専門家やコーディネーターのチームによって掴んでいくチーム力の施策であると説明しました。片桐氏は自分たちがやっていることを『つなぐこと』であり、それは普通のことで誰でもできると言います。

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また片桐氏によれば、川崎モデルについて「最終的には人と人との関係が大切」とのこと。多様な主体と連携した人的ネットワーク型支援活動であり、出向く支援活動の中で「あの社長とあの社長が出会ったら面白いんじゃないか」という人的な情報がどんどん蓄積されて、イノベーションを誘発しているのだと語りました。

出向いて支援する『出張キャラバン隊』

高い技術力を持った中小企業が集積しているのが川崎市の特徴だと語る片桐氏。大手企業やIT関連企業、研究開発の拠点にもなっている一方で、ピーク時には3,000社あった製造業が1,100社程度にまで減少し、中小企業では、自社製品の開発や技術の高付加価値化など、新しいことをやらなくては生き残れないという強い危機感を抱いていると語りました。

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中小企業の挑戦の後押しをするために行政が行う支援策として、川崎市では現場主義・チーム力をもとにした企業訪問活動『出張キャラバン隊』によってチーム全体で年間のべ約500社の企業に足を運ぶと言う片桐氏。川崎市と地域金融機関との連携も行うことで、支援機関同士の協力体制も強化して、行政が持つネットワークと、金融機関が持つ情報を組み合わせ、金融機関からの要請によってキャラバン隊が取引先に同行訪問して多方面から支援するなどの取り組みも活発化していると語りました。
また全国の自治体との広域連携により、地方の企業と川崎市の企業をつなぐ『広域ビジネスマッチング』も推進していると述べました。一方、ベンチャー企業やスタートアップ企業への支援に関しては『かわさき起業家オーディション』を年4回開催。、川崎市だけでなく全国どこからでも応募が可能なオーディションとなっており、受賞企業を地域企業やVCなどとつなぐことで、オーディション自体をマッチングの場として考えていると語りました。

大企業の『知』と、中小企業の『技』をつなぐ施策

大企業が活用せずに保有している特許を、中小企業に紹介して新製品の開発や、新事業展開を支援するのが『知的財産マッチング事業』だと語る片桐氏。平成19年からスタートした支援は、成約実績が39件、そのうち27件が製品化をしているとのこと(令和3年9月末時点)。企業間のマッチングから契約、開発、販路開拓まで一貫して知財専門のコーディネーターや財団スタッフが支援するのも特徴だと言います。
知的財産マッチング事業に参加することによって、大企業には企業価値の向上や地域貢献はもちろん、中小企業との接点が生まれることが大きなメリットであり、中小企業にとってはスピード感をもって自社製品の開発に必要な技術を入手できる・特許権による保護や大企業とのコラボによるブランド力の向上などを価値として挙げました。

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トークイベントの最後に片桐氏は、川崎モデルの土台についてこう語りました。

川崎モデルは企業との顔の見える関係がすべての土台になっているのが前提としてあると言えます。具体的な事例や事業が注目されがちなんですけど、普段の地道な企業訪問活動がやはり土台になっていることを今日はお伝えできたかなと思っています。

その他にも産業振興財団が運営する新たな研究開発拠点『新川崎・創造のもり』の紹介や、知的財産マッチング事業の具体的な事例の紹介もありました。

ピッチ&マッチングイベント

さまざまな分野の企業が自社のシーズやニーズについて語る逆ピッチイベントでは、BtoBからBtoCまで、まちとくらしに関わる企業が、自社のシーズやニーズについて語りました。

【登壇企業リスト】

  • 近鉄ベンチャーパートナーズ株式会社様
  • 東北電力フロンティア株式会社様

ほか、当日は三菱商事株式会社様、三菱商事都市開発株式会社様、ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント株式会社様、三菱商事・ユービーエス・リアルティ株式会社様が登壇し、シーズやニーズなどについて逆ピッチしました。
※上記については、アーカイブの予定はございません。ご容赦いただけますようお願い申し上げます。

東北電力フロンティア株式会社様

東北・新潟発の新たな「スマートホーム」共創

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東北・新潟発のスマート社会実現に向けたビジネスモデルの転換を目指すという、スマート社会実現のための中核企業として誕生した東北電力フロンティア株式会社様。今回は東北・新潟の20代から30代をターゲットとしたスマートホームサービスを共創するパートナーを募集していると述べ、暮らしを便利にすることで、住み続けたい東北・住んでみたい東北に少しでも貢献できればと語りました。既成概念にとらわれない暮らしを提案したいと考える同社は、電力データを収集・分析し、IoTデバイスと掛け合わすことで、家で過ごす時間がもっと好きになる世界を実現したいと言います。そのためにデータ分析のノウハウを持つ企業とのデータ活用ビジネスや、toC向けのユニークなIoTデバイスを持つ企業との協業で、東北・新潟の暮らしがより豊かになるサービスを目指していると語りました。

近鉄ベンチャーパートナーズ株式会社様

近鉄グループのリソースを活用した新たな価値の創造

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“Co-creating Tomorrow” をスローガンに、ベンチャー企業との協創による社会課題の解決や、近鉄グループの経営資源活用によるスタートアップの成長支援などに取り組む近鉄ベンチャーパートナーズ株式会社様。設立以降、スタートアップと近鉄グループ双方の成長につながるシナリオを描けるさまざまな領域のスタートアップに出資していると語りました。
近鉄グループが提供できるリソースは、幅広い事業領域とそれに付随する多様なアセット・地域や消費者との接点だとし、グループ企業を連携させた複合的な取り組みができるという点は、近鉄グループが提供できるユニークな価値だと言います。多様化する生活様式への対応・地域の課題解決を目指したまちづくり・DXによる新規事業・サービスの創出という3つの視点を備えたスタートアップ企業と協業し、リアルとデジタルの融合による新たな価値の創造を目指したいと語りました。

【イベント概要】

テーマ
まちとくらしの未来を考える

開催日時
2021年10月15日(金)13:00〜17:00

イベントパート開催場所
オンライン(YouTubeライブ配信)

本イベントはInnovation Base TokyoのYouTubeチャンネルでアーカイブ配信中です。
こちらでご覧ください。

※協業募集期間が終了している場合がございますので、ご容赦ください。