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イベントレポート

【8月26日】連携促進型オープンイノベーションプラットフォーム『Innovation Base Tokyo』事業説明会レポート

企業や大学、行政などが抱えるシーズやニーズをスタートアップに向けてプレゼンテーションし、協業や連携を模索する『Innovation Base Tokyo』の事業説明会は、鈴木規文(株式会社ゼロワンブースター代表取締役CEO)の基調講演『サステナビリティと事業機会の発見』と、久米村隼人氏(株式会社DATAFLUCT代表取締役)による特別プレゼンテーション『オープンイノベーションでデータビジネスを加速する』、そして『Innovation Base Tokyo』の事業説明及び質疑応答というプログラムで進行しました。

基調講演&特別プレゼンテーションレポート

登壇者プロフィール

鈴木規文

株式会社ゼロワンブースター 代表取締役 CEO

99年カルチュア・コンビニエンス・クラブ⼊社、管理部門を統括するコーポレート管理室⻑。東証マザーズ上場、東証1部指定替えプロジェクトメンバー。06年エムアウトにおいてアフタースクール事業「キッズベースキャンプ」を創業するとともに、兼務で新規事業開発シニアディレクターを歴任。同事業を東急電鉄に売却、3年間のPMIを経て、同社取締役退任後、11年事業創造アクセラレーター01Boosterを創業し、起業家⽀援、企業向け新規事業開発⽀援事業を⾏っている。2009年グロービス経営⼤学院アルムナイアワード受賞。

久米村隼人氏

株式会社DATAFLUCT 代表取締役

2007年にベネッセコーポレーションに入社後、CRMやダイレクトマーケティングに従事。その後、マクロミル・リクルートマーケティングパートナーズ・日本経済新聞社など複数の企業にて、広告・ヘルスケア・データサイエンスなどの領域で15サービス以上の新規事業を創出。2018年8月、 データサイエンスと人間中心設計を軸に新規事業の立上支援を行う「株式会社FACTORIUM」を創業。2019年1月、データとサイエンスの⼒で社会課題を解決することをミッションに「株式会社DATAFLUCT」を設立。同年、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の知的財産や知見を利用して事業を行うJAXAベンチャーに認定。現在、幅広い業界に向けてデータ活用支援・新規事業創出を行う。これまでローンチした新規事業は30を超える。 大阪府立大学大学院工学研究科修了(数理工学専攻)、早稲田大学大学院商学研究科(夜間主MBA)修了。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の招聘職員。

トークイベントの要旨

・ SDGs、サステナビリティの機運醸成による新たなマーケットの創造
・ 大手企業とスタートアップをつなぐ“相互主観性”とは?
・ 新規事業の起点を探るための、課題とアプローチ

変化があるということは、そこにチャンスがあるということ

鈴木氏の基調講演テーマは『サステナビリティと事業機会の発見』。SDGsやサステナビリティに対する機運が高まったことで、今まで存在しなかった新たなマーケットが創造され、プレイヤーが動いてイノベーションが生まれているという鈴木氏。現状多くのイノベーションプレイヤーが、価値提供を始めている状況だと分析します。

イベントのイメージ

世界的に12兆ドルの巨大マーケットが創出されるというデータをもとに、SDGsビジネスに意識的に取り組んでいない企業も、実際はすでにSDGsにつながる製品やサービスを保有していることも考えられ、関連企業がSDGs達成に向けて連携を強めることにより、新たな市場の獲得が可能となると説明しました。

世界のイノベーションシーンにおける“相互主観性”

米国主要企業の経営者をメンバーとするビジネスラウンドテーブル(Business Roundtable、BRT)が発表した『Statement on the Purpose of a Corporation(企業の目的に関する声明)』において掲げられた考え方から、鈴木氏は現在の世界的な変化について語りました。それは従来の株主に重きを置いた経営から、地域社会や従業員などの利益を尊重した事業経営への転換です。鈴木氏は多くのビジネスプランを見てきた経験から、社会や従業員のほかにも協力会社や顧客に対する責任を果たす仕組みは、起業家の世界から見れば当然であり『Innovation Base Tokyo』の取り組みにも共通する考え方だとした上で、世界のイノベーションシーンにおけるひとつの考え方を述べました。

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このプロジェクトは、既存企業様とスタートアップベンチャー企業が、お互いの足りない資源を持ち寄って、新しいイノベーションをタッグを組んでやっていく取り組みです。世界のイノベーションシーンでは、大手企業もスタートアップも「お互いが主役だ」と考える、相互主観性の流れが出てきます。

鈴木氏は、大手企業とスタートアップ企業によるイノベーション活動は試行錯誤を繰り返す長旅だと語り、相互主観性の考え方によって、お互いの異なる価値基準や意思決定プロセスをつなぎ尊重することこそが長旅の一歩を踏み出し、着実に前進するためのキーワードになると指摘しました。

いまの課題か、未来の課題か。新規事業を生むポイント

続いて多くの事業会社とのオープンイノベーションの実績が豊富な、株式会社DATAFLUCT代表取締役・久米村隼人氏が登壇。『オープンイノベーションでデータビジネスを加速する』をテーマに特別プレゼンテーションを行いました。

現在までに35本の新規事業を立ち上げた経験のある久米村氏は、前例を避けて正しい意思決定をするマネジメントのリスク回避こそが、新規事業の失敗につながると言います。さらに新規事業の難易度・新規事業アイデアの起点となる考え方において、現在の課題を解決するのか、未来の課題なのか、アプローチが実現可能なのかなど見極めがポイントになると語りました。

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また久米村氏は、大企業の新規事業プロセスと、内発的動機から始まるスタートアップ企業のプロセスは逆の思考にあるため、オープンイノベーションにおいてはスタートアップ企業にとって得意な領域がある可能性を指摘しました。

僕らはスタートアップウェイ(Startup Way)と言っていますが、大企業はビジネス視点で儲かるからやろうと。スタートアップは人間が使いたいものというピンポイントの考え方で狙いを定めていく。だからスタートアップは、たくさんチャレンジして、たくさん失敗していくんですよ。大企業だとなかなかやりにくいですよね。失敗を重ねていくわけなので。そこはスタートアップの得意とする行動で、一歩ずつ、小さいリスクテイクを取って、大きなチャネルにしていくスタイルがフィットするわけです。

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スタートアップに求められるのは、不確実な未来から逆算して事業を作ること。
お客様が何が欲しいのか、未来がどう変わっていくのか、未来をどう作りたいのか。それこそがオープンイノベーションの意味であり、そこに魂を注ぐスタートアップと組むべきだと久米村氏は語りました。

イベントの最後には『Innovation Base Tokyo』運営事務局・水野亜依子氏より本プログラムの詳細についてプレゼンテーションが行われ、『Innovation Base Tokyo』の概要や、2つの“i”をモチーフに構成され、無限大のイノベーションを生み出していくための架け橋になりたいという想いを込めたロゴマークの説明などが行われました。

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【イベント概要】

テーマ
企業や大学、行政機関等のシーズ・ニーズ等とスタートアップによる解決策を結びつける、連携促進型オープンイノベーションプラットフォーム『Innovation Base Tokyo』事業説明会

開催日時
2021年8月26日(木)13:00〜14:30

イベントパート開催場所
オンライン(YouTubeライブ配信)

本イベントはInnovation Base TokyoのYouTubeチャンネルでアーカイブ配信中です。
こちらでご覧ください。

※協業募集期間が終了している場合がございますので、ご容赦ください。