東京都

REPORT

イベントレポート

2023年度 第7回

2024.01.25 開催

スタートアップと創る地域の未来

※トークイベント付き

~各自治体や大学、一般社団法人の担当者が登壇。地域課題の解決に向けて必要なニーズや様々な取り組みについて語る~

Innovation Base Tokyoピッチ&マッチングイベント第7回の模様をレポートします。各自治体や大学、一般社団法人の担当者が登壇。地域課題の解決に向けて必要なニーズや様々な取り組みについて語りました。

また、ピッチに先がけて「スタートアップと地方自治体の連携の可能性」をテーマとしたトークイベントを開催。山形県酒田市副市長の安川智之氏をお招きし、本事業の連携コーディネーターを務めるアデコ株式会社ソーシャルイノベーション課長の吉田智之氏と自治体とスタートアップとのコラボレーションが生まれるには何が必要なのか、どのようにスタートアップと連携することで自治体・地域の活性化につながるのか、実際の事例を踏まえたクロストークを行いました。

トークイベント

登壇者プロフィール

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安川 智之氏

山形県酒田市副市長

広島県出身。2005年経済産業省入省。2017年人事交流で山形県酒田市へ。「企業と人をつなぐ」をコンセプトとする産業振興組織のサンロク(産業振興まちづくりセンター)」のセンター長を務める。サンロクIT女子プロジェクトをスタートし、人材育成、デジタル業務の受注及び就職支援を実施。2023年1月に副市長、現在に至る。

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吉田 智之

アデコ株式会社
パブリックソリューション事業本部 ソリューションセールス事業部 事業企画部 ソーシャルイノベーション課長

滋賀県甲賀市役所へ入庁。政策、市民活動推進、福祉、生活環境、道路管理、施設管理、消費生活、防犯、交通施策などの部署を経験。その後、アデコ株式会社に入社。所属長として、これから求められる人材育成をテーマに公共事業を受託してプロジェクトマネジメントを実施。その他、地域共創事業など、持続可能な地域社会のための仕組みづくりの提案を実施。

トークイベントの要旨

・ 自治体にとってのスタートアップ連携の意義と最近の動向
・ 自治体とスタートアップの連携成功に必要なこと
・ スタートアップとの協創を進めるための酒田市の取り組み

自治体とスタートアップ連携の最近の動向

イベントのイメージ

最初に吉田氏が、自分が以前自治体に勤務していた頃はスタートアップと自治体の連携は少なかったが、最近増えてきたとの印象を語りました。これについて安川氏は、人口減などにより地域に様々な課題が顕在化する中、一義的には自治体自らが施策を考えるものの、行政が考えることと市民ニーズがマッチしていない問題があり、企業との連携を活用する流れになっているといった背景を説明しました。大きな投資が必要な大企業の提案は地方自治体の財政状況を鑑みると負担が大きい一方、数多くの小さな課題にスタートアップと一緒に取り組んで行くことを期待しているとの話でした。

また、スタートアップとの協業が増えている背景としては、高等教育で地域課題に取組む実習により地域の実情を触れる機会が増えた結果、社会課題の解決を掲げるスタートアップが増えている面もあるとご指摘されました。

自治体とスタートアップの連携成功に必要なこと

安川氏はまず、自治体とのスタートアップの連携成功については、短期的成功と持続的・長期的成功の2つがあると指摘しました。短期的成功は実証実験やヒアリングなどで比較的実現し易い反面、持続的・長期的成功は別のハードルがあると言われていること、また、持続的・長期的成功に必要なことは、地域課題とスタートアップのビジョンとが一致していることが重要ではないかと語りました。吉田氏も地方創生事業などでパートナーとなる企業を探す際に、社会課題に取り組む姿勢があるか否かに注目していると語りました。

スタートアップとの協創を進めるための酒田市の取り組み

イベントのイメージ

酒田市はSHIBUYA QWS(渋谷キューズ)のパブリックメンバーとして、中小企業等の業容拡大、新たなビジネス等の創出、関係人口等の創出を行っています。吉田氏がこの取り組みを始めた理由を尋ねると、安川氏は、都内のスタートアップと話をするうちに、もっと繋がりを持ちアイデアを取り入れたいという思いが強まった結果だと語りました。吉田氏はこれを受け、東京都もIBTを始めとした様々な支援を行っており、地方自治体には積極的に活用して欲しいと語りました。

自治体からスタートアップへの期待

安川氏は、地方は課題の先進地でありアイデアを実行するのに適している点を挙げ、自治体としてもスタートアップのビジョンを聞き、対話を通してWIN/WINの関係を築きたいと語りました。吉田氏も対話の重要性に同感し、イノベーションで自分たちがどう変わってゆくのかを話し合うことが大事だと語りました。最後に安川氏は、社会を変えたいという熱い気持ちで提案をして欲しいとスタートアップ企業に呼びかけました。

ピッチ&マッチングイベント

協業スタートアップ募集中の6つの組織が、シーズやニーズのプレゼンテーションを行いました。

【登壇組織リスト】

  • 山梨県様
  • 岐阜県御嵩町様
  • JAF 一般社団法人日本自動車連盟様
  • 栃木県宇都宮市様
  • 桃山学院大学様
  • 山形県酒田市様

ピッチ&マッチングイベント

山梨県様

「山梨県の概要と実証実験サポート事業について」

イベントのイメージ

山梨県様は、豊かな自然環境や富士山をはじめ多彩な観光資源に恵まれ、ジュエリー、ワイン、織物など地場産業が盛んな一方、主要産業は半導体関連産業を中心としたモノづくり県となっています。リニア開業を見据えて「リニアやまなしビジョン」を策定し、「最先端技術で未来を創るオープンプラットフォーム」を目指しています。地域特性を活かしたテストベッドの聖地化を掲げ、未来に向けて新たなチャレンジを行う「イノベーション関係人口」の拡大に向けて取り組みを進めています。事業の分野やステージを問わず、山梨県様のもつアセットとともに社会的インパクトを生み出すことに興味があるスタートアップを募りました。

岐阜県御嵩町様

「みんなの”推しまち”になるための御嵩町への“推し活”を盛り上げたい」

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岐阜県御嵩町様は人口約17,000人で、豊かな自然と国の重要文化財に指定されているお寺や、特産品等まだ知られていない魅力ある観光資源が多くある小さな町です。そんな御嵩町様では人口減少による地域の担い手不足や自治会加入減少による住民自治機能の維持が困難であることを課題として抱えています。そんな課題を解決するためにみたけファンクラブの創設を検討し、推し活を行う人々のようなファンの創出を目指しています。御嵩町様が持つ既存の魅力の磨き上げ、新たな魅力の発掘・創造、認知度・知名度アップに関するアイデアを持ち、一緒に御嵩町を推しまちにするために協業できるスタートアップを募りました。

JAF 一般社団法人日本自動車連盟様

「モビリティ社会とユーザーの生活を彩る“対話と共創”」

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JAF様は2,040万人の会員を抱え、ロードサービス事業を主な事業として行う一般社団法人団体で、年間219万件を超える救援を全国で行っています。さらには災害時での救援に備え、独自にロードサービス特別支援隊を編成し、災害時の救援活動を自衛隊や警察と共に実施しています。また、地域での交通安全活動や、年間5,000万人が利用する会員サービス事業も行っています。これら各事業で得たデータの有効活用に取り組んでいます。また2030年には職員数が減少することを見据えてさらなるITデジタル化を進めています。事例の一つとして、JAF様がもつメタバースのプロジェクトや交通環境活動等へAIや職員不足をデジタルヒューマンで置き換えるための取り組みも進めています。JAF様が抱える事業に対して「対話と共創」というキーワードで協業できるスタートアップを幅広く募りました。

栃木県宇都宮市

「スタートアップとともに実現する宇都宮からの『宇宙宮ビジネス』」

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栃木県宇都宮市様は栃木県のほぼ中央、東京から北に約100kmに位置している中核都市で、北関東の中で大きな経済圏を持ち、中核市の平均よりも大きな規模となっています。その理由が従業員の約6割が大手企業のマザー工場に集中しているためであり、宇都宮市様はその依存からの脱却を目指し宇宙分野に力を入れています。SUBARU宇宙航空カンパニー様を中心に宇都宮市内には航空機器関連の多くのサプライヤーが存在し、それらが持つ高い技術力と品質管理能力は宇宙分野の産業振興において強みとなっています。また、帝京大学の宇都宮キャンパスは小型衛星開発拠点となっており、小型衛星の開発・製造において宇都宮市内の製造業者をはじめとした多くの栃木県内の企業が参画しています。協業のテーマとして宇宙関係だけでなく、健康、スポーツ、エンターテインメント、農業、脱炭素分野まで幅広いテーマで協業できるスタートアップを募りました。

桃山学院大学

「訪れる全ての人がワクワクする、未来社会創造型キャンパスを目指して」

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桃山学院大学様は2024年で創立140周年を迎え、生徒学生数併せて1万人規模の学校法人です。桃山学院将来構想のビジョンとして「地域と共に発展する」と定め、地域社会への貢献を進めるとともに、全世代型の教育サービスを提供する教育機関への転換に向け、リカレント教育の充実等に取り組み始めています。また、協業の事例として電動キックボード及び電動アシスト自動車のシェアリングサービスを挙げました。桃山学院大学様の将来構想に共感し、持続可能な地域共生社会の実現に向けたアイデアを持つスタートアップを募りました。

山形県酒田市

「地方から生み出す新たな取り組み~つながりの仕組化について~」

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山形県酒田市様は人口が約10万人、主要産業は製造業や農業であり、観光の目玉としては日本酒や酒田舞子等を挙げました。酒田市産業振興センター(サンロク)を「人と人、企業と企業、人と企業をつなぐ」をコンセプトとして運営しており、コワーキングスペースの運営、若者のチャレンジを後押しできるようなローカルファンドという地域版クラウドファンディング等の事業を抱えています。酒田市とスタートアップの協業の事例として、外国人観光客向けサービスの実証実験や自治体向けのPRサービス、買い物支援のための移動販売サービス、食品廃棄物を発酵させアルコール抽出するようなサービスなどを挙げました。地域の課題を解決するために持続的な関係を築けるようなスタートアップを募りました。

【イベント概要】

テーマ
スタートアップと創る地域の未来

開催日時
2024年1月25日(木)14:30〜17:10

イベントパート開催場所
SusHi Tech Square (東京都千代田区丸の内3-8-3)
オンライン(Zoomライブ配信)

本イベントはInnovation Base TokyoのYouTubeチャンネルでアーカイブ配信中です。
こちらでご覧ください。

※協業募集期間が終了している場合がございますので、ご容赦ください。